1.想うということ 2.Reverb(Jan 3rd.Mix) 3.ナポリを見て死ね 4.空の向こうから 5.ダイヤグラム 6.Scare 7.ポートレイト 8.コーヒー付 9.リトル・ガール・トリートメント 10.羽根 11.here 12.南行き とてもこっ恥ずかしい書き方をしてしまいますが、 これは「日本の『モーニング・グローリー』である」、と言いたい名盤であります。 もうちょっとFouryou捻りなさい、と言われそうですが(笑)。
まず、古典的とも言えるストレートなロックサウンド、 しかしその骨太なダイナミズムでぐいぐい聴き手を引っ張ってしまうカタルシス。 そして時には高揚を煽り、時にホロッとさせるセンチメンタリズムを包括した良メロ。 この辺りは既にオアシスに通ずるものがあったバインだけど、加えてこのアルバムは 全曲捨て曲なし、飛ばすところが一つもなく、冒頭の「想うということ」「Reverb」から 終盤「here」「南行き」まで、次から次へめくるめく名曲が飛び出してくるのである。 シングルになったのは「Reverb」「羽根」の2曲だけだが、 このアルバムからは軽くあと4,5曲はシングルが切れるだろう。
楽曲のバラエティという点がやや弱点だった気もするそれまでのバインだけど、 ここでは「ダイヤグラム」での大胆なストリングスの導入や、重心の低いヘヴィなロックを奏でる 「ナポリを見て死ね」、ビートリィな佳曲「ポートレイト」、異色の小品「コーヒー付」、 壮大なワルツ・ロッカバラード「here」、ブラスを導入したアメリカンな「南行き」など 幅を広げ、どれも好結果を残している。1曲目から12曲目まで全く聴き飽きない。
加えて、田中の叙情的な歌詞やねじれた感じのボーカルも、もはや 独自の個性として完成された感がある。日々の中で抱える「言葉に出来ない感情」を歌にする田中の歌詞は、 初期よりも力みが抜けながらより心に響き、独特の声と歌い回しはこれがなければバインは 有り得ない、というほど強烈に楽曲と結びついてしまっている。 リアムのあのぶっきらぼうな唱法がオアシスをオアシスたらしめているように。 「歌詞がもうちょっと分かり易ければもっと売れるのに・・・」なんてアンビバレントな 思いもあるにはあるが(笑)、これはもうバインの大事な魅力の一つなのだ。「ナポリを見て死ね」 「Scare」の皮肉の効いた歌詞も痛快だしね。
とにかく、良メロ、グルーヴ、ダイナミズム、カタルシス、叙情性、ねじれ・・・ そんなバインがバインたるエレメントが過不足ないバランスで詰め込まれた傑作だ。 このストレートで男臭いサウンドと、男のセンチメンタリズムにグッと迫る叙情性は、 実は男性にこそ支持されそうな気もする。聴いた事がない人は是非即送営業部、これを。 |
|